食品廃棄物と食品ロスの違いや上手な再利用の仕方

一般家庭や飲食店、食品製造メーカーなどから排出される生ゴミ。これらは総称して「食品廃棄物」とよばれ、焼却処分されることが多いです。しかし、水分の多い食品廃棄物は燃焼しにくいことから、地球環境保護のために再利用が求められています。

今回の記事では、食品廃棄物にはどのような再利用方法があるのかを紹介するとともに、混同されやすい食品ロスとの違いについても解説します。

食品廃棄物とは

生ごみ

食品廃棄物とはその名の通り、食べずに廃棄される食品全般のことを指します。具体的には「販売店から廃棄された食品」や「食べ残し」、「食品残渣」などが食品廃棄物にあたり、日本では1人あたり年間で約45kgもの食品廃棄物を排出しているという統計調査結果もあります。

また、食品廃棄物は大きく分けると事業者から排出されるものと一般家庭から排出されるものがあり、事業者から排出される食品廃棄物は年間で309万t、一般家庭から排出される食品廃棄物は年間261万tにもおよびます。食品廃棄物の排出量は年々減少傾向にあるものの、まだまだ多いのが実情であることから、地球環境保護や食糧不足の問題を解決するためにもさらなる減少と再利用が求められています。

食品ロスとの違い

食品廃棄物と似た意味をもつ言葉に「食品ロス」があります。食品ロスとは、本来食べられるものであるのに廃棄される食品を指します。これに対し、食品廃棄物は食べられないものも含まれるという違いがあります。

冒頭の説明のなかで具体例として挙げた「販売店から廃棄された食品」や「食べ残し」などは食品ロスに該当しますが、野菜の芯や外葉、魚の骨、肉類の余分な脂肪、果物の種といった「食品残渣」は食品ロスに含まれません。そのため、食品ロスは食品廃棄物の一部に含まれるといえるでしょう。

食品ロス削減推進法の内容

毎日大量に排出されている食品廃棄物ですが、これを減少させるために「食品ロスの削減の推進に関する法律」が定められています。通称「食品ロス削減推進法」ともよばれるこの法律は、2018年10月に施行され、2030年までに事業系の食品ロスを273万tまで減らすことを目標としています。

具体的な施策としては、消費者や事業者に対する啓発活動、食品関連事業者に対する支援、食品ロスの削減に成功した企業への表彰、食品ロスの先進的な取り組み事例・情報の提供、フードバンク活動の支援などを国が実施することを定めています。

食品廃棄物の上手な再利用方法

スコップ

食品廃棄物の排出を抑えることは重要な取り組みのひとつですが、食品残渣などを含めるとなると排出量をゼロにすることは困難です。そこで、農林水産省では食品廃棄物の再利用を推進しており、そのための主な方法として挙げられているのが以下の3つです。

肥料化

ひとつ目は、農作物を栽培する際に用いられる肥料として再利用する方法です。野菜や果物といった農作物は、生育の過程で土壌から窒素やリンといった物質を補給しますが、肥料を土壌に撒くことでこれらの栄養素を補うことができます。食品残渣などを加工することで肥料として再利用が可能です。

飼料化

2つ目は、畜産動物を飼育する際に用いられる飼料(餌)として再利用する方法です。特に米や麺類、パンなどを乾燥し粉砕することで飼料として再利用ができ、豊富な栄養分によって畜産動物の成長を促進できます。

エネルギー化

持続可能なエネルギーを確保するための手段として、再生可能エネルギーが注目されています。太陽光発電や水力、風力発電ばかりが注目されがちですが、じつはバイオエネルギーも貴重なエネルギー源のひとつに数えられます。バイオエネルギーとは、微生物が有機物を分解する際に発生するメタンガスを主成分としたものであり、これを熱エネルギーに変換するというもの。食品廃棄物はバイオエネルギーの源であり、メタン発酵技術によって効率的なリサイクルができると期待されています。

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