穀物や野菜、果物などを好んで食し、肉や魚などを避ける傾向にある人のことをベジタリアンとよびます。日本語では菜食主義者ともよばれますが、近年では「ビーガン(ヴィーガン)」という言葉も社会に浸透しつつあります。しかし、一口にベジタリアンといってもさまざまな種類があり、肉や魚などを食さない理由もそれぞれ異なります。
今回は、ベジタリアンにはどのような種類があるのか、それぞれの違いを紹介するとともに、混同されがちなビーガン(ヴィーガン)との違いについても解説しましょう。
ベジタリアンの種類
ベジタリアンは食生活の違いに応じて9つの種類に分けることができます。どのような種類があるのか、それぞれのベジタリアンの特徴と違いについて解説しましょう。
1.ビーガン(vegan)
ビーガン(ヴィーガン)は日本語で完全菜食主義者とも表現されます。また、英語圏の国ではピュア・ベジタリアン(Pure Vegetarian)ともよばれることがあります。
肉や魚はもちろんですが、卵や乳製品、はちみつなど、動物性食品を一切口にしないことが大きな特徴です。
2.フルータリアン(fruitarian)
フルータリアンとはその名の通り、フルーツ(果実)やナッツ類のみを食事に取り入れることを指します。肉や魚、卵や乳製品などはもちろんのこと、根菜や葉野菜といった食材も取り入れないのが大きな特徴。フルータリアンは健康維持を目的として一部取り入れる人もいれば、思想的な理由からフルータリアンを実践する人もいます。
3.オボ・ベジタリアン(ovo vegetarian)
オボ・ベジタリアンとは、肉や魚は口にしないものの、動物性タンパク質として卵を取り入れるベジタリアンのことを指します。
4.ラクト・ベジタリアン(lacto vegetarian)
オボ・ベジタリアンとは、肉や魚は口にしないものの、動物性タンパク質として乳製品を取り入れるベジタリアンのことを指します。
5.ラクト・オボ・ベジタリアン(lacto-ovo vegetarian)
ラクト・オボ・ベジタリアンとは、オボ・ベジタリアンとラクト・ベジタリアンを組み合わせた食事法であり、肉や魚は口にしないものの、卵と乳製品を取り入るベジタリアンのことを指します。
6.オリエンタル・ベジタリアン(oriental vegetarian)
オリエンタル・ベジタリアンとは、基本はビーガン(ヴィーガン)と同様の食生活を送りますが、「五葷(ごくん)」とよばれる食材を口にしないベジタリアンのことを指します。五葷とは、「にら」、「にんにく」、「ねぎ」、「らっきょう」、「浅葱」のことで、これらを避けるのは宗教上の理由があります。また、オリエンタル・ベジタリアンは主にアジア圏で実践者が多いのも特徴といえるでしょう。
7.ペスキタリアン(pescetarian)
ペスコ・ベジタリアン(pesco-vegetarian)ともよばれ、肉は口にしないものの、魚介類や卵、乳製品は取り入れるベジタリアンのことを指します。肉類を避けるだけのため普段の食事のなかで実践しやすく、栄養バランスも取りやすいメリットがあります。
8.フレキシタリアン(flexitarian)
フレキシタリアンとは、普段は通常の食事法であるものの、ダイエットや健康維持などを目的として菜食主義を取り入れるスタイルのことを指します。状況に応じてフレキシブルに実践することからフレキシタリアンとよばれていますが、別名セミ・ベジタリアン(semi-vegetarian)と表現されることもあります。
9.ポーヨ・ベジタリアン(Pollo-Vegetarian)
ポロタリアン(Pollotarian)ともよばれ、肉類の中では例外として鶏肉のみを口にするスタイルのことを指します。ペスキタリアンよりもさらにハードルが低く、手軽に始められる食事法といえるでしょう。
ベジタリアンとビーガン(ヴィーガン)の違
基本的に肉や魚介類を口にしないという意味では、ベジタリアンとビーガン(ヴィーガン)は同じものととらえられることがあります。しかし、ビーガン(ヴィーガン)は卵や乳製品などの動物性食品を一切口にしない完全菜食主義者である点がほかのベジタリアンと決定的に異なる点といえるでしょう。
また、動物愛護の思想が根本にあるビーガン(ヴィーガン)実践者は、動物のレザーや毛皮でできた製品も避ける傾向があります。