見た目がきれいな食材を収穫するためにも、農薬や肥料は欠かせない存在です。しかし、一定量以上の農薬が作物に付着していると、それを摂取した人に健康被害がおよぶこともあります。
そこで、無農薬食材にこだわりをもっている方も少なくありません。今回は、無農薬食材の選び方のコツを中心に詳しく解説します。
無農薬食材とは
無農薬食材とはその名の通り、農薬を使用せずに栽培・収穫された食品のことを指します。一般的には野菜や果物を指す場合がほとんどで、健康に気を遣っている方や小さな子どもがいる家庭など、無農薬食材にこだわっている方も少なくありません。
ただし、無農薬食材という言葉は法律上定義されておらず、その食材が本当に農薬を一切使用せずに育てられたものなのかは判別できないのが現状です。
すなわち、本当に一切の農薬を使用せず栽培されたものもあれば、通常の栽培よりも少ない量の農薬を使用して栽培されたものを「無農薬」として販売しているケースもあるということです。
無農薬食材と有機野菜の違い
無農薬食材と似た意味を指す言葉に「有機栽培」や「有機野菜」があります。無農薬食材は法律によって明確に定義されているものではないと紹介しましたが、有機栽培や有機野菜の場合は「有機農業の推進に関する法律」のなかで明確に定義されています。また、農林水産省では以下の条件を満たして栽培されたものを「有機食品」とよんでいます。
- たい肥等で土作りを行い、種まき又は植え付けの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用しない
- 土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる
- 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減
- 遺伝子組換え技術を使用しない
引用:生き物にやさしい日本を残したい 有機食品っていいね!|農林水産省
無農薬食材の選び方
人体に有害な残留農薬の健康被害を防ぐために、無農薬にこだわって食材を選びたいと考える方も多いでしょう。そこで、無農薬食材を選ぶ際に覚えておきたい4つのポイントを紹介します。
「オーガニックJASマーク」がついている
まずは、国が定める有機栽培の基準を満たしているかどうかを判断するために、「オーガニックJASマーク」がついているかを確認しましょう。これは有機栽培によって収穫された作物であることの証拠であり、少なくとも人体に有害な化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術によって栽培された作物ではないことを証明しています。
オーガニックJASマーク=無農薬という証ではありませんが、少なくとも国が定める基準はクリアしていることを確認できます。
虫食いがひどいものは避ける
そもそも農薬は害虫や農作物の病気を防ぐために使用するものであり、無農薬で栽培された作物には虫食いや一部変色があるものも少なくありません。
反対に考えれば、自然のなかで育てられた作物であるにもかかわらず、虫食いが一切なくきれいな状態で収穫されたものは無農薬食材ではない可能性もあるでしょう。
無農薬食材を選ぶ以上、多少の虫食いには目を瞑る必要がありますが、あまりにも虫食いがひどいものは可食部も少なくなるため、避けたほうが良いです。
生産者の情報を調べてみる
無農薬にこだわって栽培している野菜や果物の場合、生産者の情報がパッケージに印字されていたり、店頭に生産者情報が掲載されていたりすることがあります。
本当に信頼できる生産者であるかを判断するためにも、インターネットなどで生産者情報を調べてみるのもおすすめです。
海外食材の場合は認証マークを調べる
海外から輸入された食材を選ぶ際には、各国の認証マークが付与されているかを確認してみましょう。
たとえば、アメリカの場合は「USDA ORGANIC」、オーストラリアは「ACO(Australian Certified Organic)」、EUの場合は「ECOCERT」、カナダ産の食材には「COR(Canadian Organic Regime)」という認証マークがそれぞれ付与されています。
無農薬食材の選び方に注意して安心・安全な食を守ろう
日本では無農薬食材に関する法律が定められておらず、「無農薬」という表記があるからといって一切の農薬が使用されないまま収穫された作物とは限りません。
今回紹介した無農薬食材の選び方を参考にしながら、安心・安全な食を守っていきましょう。